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2013.10.01
Vol.68 〈甲子園の風〉

草むしりの師匠

群馬は高崎の㈱草むしり 代表取締役 宮本成人社長よりいただきました。。。


【甲子園の風】

「振ってくれ」と叫びそうだった。

8月22日の決勝戦。

9回裏、2死1・2塁、延岡学園(宮崎)の9番・奈須怜斗は1ボール2ストライクと追い込まれていた。点差は1点。一打出れば同点の場面だった。

「見逃し三振」という打者にとっても悔いが残る結果よりも、振りに行っての勝敗であってほしい・・・・・強くそう願った。

結果は空振り三振。

その瞬間に、前橋育英(群馬)の優勝が決まった。

もっとも、私は特に延岡学園を応援していたと云うわけではない・・・。

4回裏に延岡学園が3点を先制し、その直後の5回表に前橋育英が同点に追いつく7回表に前橋育英が1点を勝ち越すと云う白熱の好ゲームに、両者がすべてを出し切った上で試合が決着してほしい、と願っていただけなのだ。


この試合には両者は勝った負けただけではない、大きな何かを感じずにはいられなかったのだ。

対戦相手のキャッチャーに駆け寄って、手当をした一塁コーチャー。

今も心に残っているシーンがある。

それは9回表、1死三塁での出来事だ。

タイムリーが出れば、前橋育英に1点が加わり、試合の大勢がほぼ決まる。

そんな展開で、前橋育英の5番・小川駿輝が2-2からの6球目に打ったファールチップが

延岡学園の捕手・柳瀬直也の右手に直撃した。

柳瀬はその場にうずまった。すると、前橋育英の一塁ベースコーチャーの富田恭輔が柳瀬のもとへ走り出した・・・。

一塁コーチャーは自軍の打者が死球を受けた時の為に、ズボンのポケットにコールドスプレーを用意しているのだが、富田は相手捕手がうずくまるのを見て、駆け寄って来たのだった。

その数分間、実に温かい空気が流れていた。

コールドスプレーで柳瀬の痛みを和らげようとする富田。

柳瀬はミットとマスクをその場に置いたのだが、打者の小川はそれを手に持ち

柳瀬の回復を待っていた。

この試合では、そうした相手を思いやる姿勢が随所に表れていた。

打者がキャチャーのマスクを拾う、あるいはキャッチャーがバットを拾う。

全国大会、それも決勝戦の舞台の緊迫した場面でもその所作を怠らない両校の生徒に野球以外の力を感じた。

勝つことよりも、人間性を誉められる方が嬉しい。

前橋育英は「凡時徹底」と云う言葉を掲げ、小さなことを積み重ねて強くなってきたチームだった。全力疾走やカバーリング。日常生活においては、挨拶や時間厳守

掃除を重んじ、人間性を高めてきた。荒井直樹監督は云う。

「野球以外の面で重視しているのは、服装と時間、清掃などです。服装が乱れたら社会では生きていけません、時間はただ、集合時間に間に合えばいいよい云う事ではなく
提出物をきっちり守るとか、『間に合う』と云う事が大切。掃除については、片付ける人間か片付けられない人間なのかどうか。

野球の試合の中には『試合を片付ける』と云う部分がありますしそこにつなげて話しをします。」

一方の延岡学園も、日々の積み重ねを重視するチームだった。

野球の練習だけでなく、日常生活・学校生活で自身を律する。挨拶やゴミ拾いなどの当たり前の事を当たり前に繰り返してきた。重本浩司監督は云う。

「うちの学校は大峡町と云うところにあるのですが、甲子園の出場が決まった時に町の方から今年は甲子園に行くんじゃないかと思った、と云われました。

挨拶や普段の行動を見て、今年は違うと思ってくれたそうです。僕は、勝った事よりもそう云ってもらえた事が嬉しかった。今年の3年生は普段の生活にしても、寮生活にしてもコツコツと積み重ねてきた。人の良さ、人間性はあると思います。」

キャッチャーマスクを打者がわざわざ拾う行為も「普通のこと」。

両者は似通っていた・・・。

「僕らは凡時徹底と云うテーマを掲げていたんですけど、試合後に聞いたら、延岡学園もそうだったらしいです。お互い、同じ目標を掲げていたので、感じるものがありました。

延岡学園はいいチームだった」と前橋育英の遊撃手・土谷恵介が云えば

右太もも肉離れで1回にベンチに退いた延岡学園の二塁手・梶原翔斗もこう語った。

「ベンチで試合を見ていて思ったのは、お互いが正々堂々と試合していると云う事でした。

『凡時徹底』と云うのがプレーにも出ていたし、普段の生活の積み重ねを大事にしているチーム同士が今年の決勝の舞台に揃ったんだなと思いました。」

念のため、ファールボールを追う際に放ったキャッチャーマスクを相手チームの打者が拾う行為について選手に聞いて回ってみたのだが、どちらのチームの選手も

「当たり前のこと」と特別な事とは受け止めていなかった。前橋育英のエース・高橋光成は2連投で明らかに疲れている中での出場だったはずなのだが、それでも打席に入った時にはキャッチャーマスクを拾う事を忘れなかった。その事を質問すると「普通の事なんです」とサラリとコメントした。荒井監督は云う。

「疲れている事と、気付く事は切り離して考えています。楠(裕貴)が今大会の試合でチャンスにキャッチャーフライを打ったんですけど、その時にマスクを拾ってキャッチャーに渡してからベンチに帰って来た事がありました。楠は今大会、打てなくて迷惑を掛けたって云ってたんですけど、僕は楠のその行為がすごく大事な事だと話しました。

凡打して悔しいと思うけど、その瞬間に次ぎの事が始まっているわけですから、次に切り替えられるんです。」

勝利に固執し過ぎ、様々な問題が出てきた高校球界・・・。

昨今の高校球界では、様々な問題が噴出して来ている。

勝利に固執するあまり、相手を思いやる気持ちに欠けるプレーを行うチームが増えている。

今春のセンバツでは、ホームのクロスプレーでメジャーリーガーばりのタックルをお見舞いしたチームがあったし、今大会でもサイン伝達などが問題になった。

そんな中で、決勝戦は実にクリーンファイトだった。

前橋育英の一塁コーチャー・富田は云う。

「相手チームがいるから野球ができる。野球人として、人としてしっかりしなければいけないと監督から教えられて来ました。コールドスプレーを持って行ったのは、監督から云われたわけでもなく、いつもの事です。」


9回裏、1死一、二塁。

延岡学園の8番・柳瀬がキャッチャーフライを打ち上げた。
前橋育英の捕手・小川はマスクを外して三塁ベンチ手前まで追い掛けてスライディングキャッチした。あとアウト一つとなった状況で、小川のキャッチャーマスクを拾い、

手渡したのは・・・

延岡学園の次の打者で、結果的には最後の打者となる、奈須だった。


(Number WEB 2013.8.23より)



お掃除の会で...鍵山秀三郎相談役からかなり前に

教わった・・・【凡時徹底】
これぞ・・・

高校野球・・・

いつまでも、いつまでも高校野球ファンであり続ける・・・

【凡時徹底】と【感動】をありがとう。。。



感謝合掌。

 
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